FIエラーと一概に言っても…

GSX-R125 FI表示
※お久しぶりです。ちょこちょこ乗ってはいましたが特段記事にできるネタもなくて放置しちゃってました。今回はFIエラーについてです。

ついに自分とこにもFIエラーが出ました。ODOで約5万キロ。5万キロも走ればちょくちょくトラブルでますよね。エラー出る前にスロットル全閉でアイドリングが4000くらいまで上がったので、それが原因でしょうけど。

※サービスマニュアルにはECM(エンジンコントロールモジュール)と記載がありますが、一般的な記載に合わせてECU(エンジンコントロールユニット)表記でいきます。
さて、一概にFIエラーが出たから即走行不可!ってわけではありません。今回のようにセンサが変な値を拾ってECUが一時的なFIエラーが出してる場合や、センサー自体が壊れて信号がないことによるFIエラーどちらも考えられます。

走行可否の切り分けはサービスマニュアルに記載があり、エンジンチェックランプ点灯後

・2秒ごとにODO(走行距離表示)とFIが交互に表示されるなら、フェイルセーフモードでエンジン始動・走行可能。各種センサ値が定数に固定されます。点検は必須。
・FI表示のまま(ODOが出ない)ならエンジン始動不可。レッカー呼びましょう。

ECUをディーラーモードに入れない限りエラーコードは表示されません。上記の表示になるだけです。カム角センサ・フューエルカットセンサ・インジェクタセンサからの各センサ信号と燃料ポンプ・イグニッション信号のいずれかがない場合、FI表示のままになるようです。

エラーコードを確認しよう。

エラーコードを見るにはOBD2機器を接続またはECUをディーラーモードに入れる必要があります。必要なのは品番09930-82720 スイッチモードセレクト6キョクです。純正で買うと1200円くらい。ちょいと面倒ですがメーカーとしては下手にいじられたくないのでしょう。

構造は見た目と手持ちのサービスマニュアルでだいたいわかるので純正買うのもなあと、自作しました。ただ被覆はむき出し・コネクタも無いような応急品ですし、電装をわかってないド素人もこのページを見る可能性があるので方法は公開しません。自己責任でどうぞ。(自分で色々整備やっていれば、「確かにコネクタつなぐだけなのは楽だな」とか「こんなのいるんかい!」って感じの代物です。)

※電気関係は自分の個体で触ったとしても記事にしないことにしています。市販品の組み合わせならまだしも。世の中にはマジで考えられんような作業をする素人がいるので…

イグニッションスイッチがOFFの状態で、セレクトスイッチをリアシート下にある6極の点検カプラに差し込みます。(たしかブレーキランプ辺りから分岐してカバーかかってます)その後イグニッションをONにしてエンジンをかけるか4秒以上セルを回した後、セレクトスイッチをON側にします。
するとFI表示とチェックランプが消え、エラーコードが番号順に表示されます。
エラーコード(DTC)一覧はYasuhiroとGSX-R125様が一覧にしてくださってます。

今回はC65のみでした。アイドリング回転数に関するエラーですね。適正範囲外のアイドリング回転数を検知すると出ます。これマニュアルには点検しろと書かれている箇所が多いんですが、原因はある程度当たりがついてます。クラッチレバースイッチ誤作動かちょっと前にいれた燃料添加剤がISCVに悪さをしたまたは両方が原因でしょう。

アイドリング回転数が突然跳ね上がった症状を見るにクラッチレバースイッチが主原因ではなく、おそらくスロットルバルブにあるISCV(アイドリングスピードコントロールバルブ)のエア経路あたりか吸気センサに剥がれたカーボンなど汚れが付着した可能性が高いです。

経路付近かセンサに汚れが付着して、流入空気量が変わる・変わったとセンサが誤検知→吸気圧センサが信号をECUに送り、センサ値からISCVを開けるようにECUが指示→ISCVが開く→流入空気量が変わりだんだん付着物が取れる→ある程度のところで汚れが一気に剥がれ、流入空気量が突然多くなる→アイドリング回転数急上昇→異常なアイドリングをECUが認識してFIエラー。こんな感じじゃないでしょうか。

※流入空気量が増えるとアイドリング回転数が上昇するのは、回転数は燃焼室内の燃焼圧力によって決まるため。ガソリンエンジンの場合燃焼圧力は燃焼室内に入る空気量のみで決まるため、空気量が増えると回転数が上昇するわけです。
燃料は回転数に関係ないのかって?燃料内の炭素は吸入空気に含まれる酸素量以上に結合して燃焼することはできない。つまり吸い込めた空気量以上に燃料を燃やすことはできないわけ。

キャブ車で2次エア吸うとエンジン回転数上がるでしょ?

ISCV周りのトラブルって、スズキ車だと2輪も4輪も結構な頻度で発生します。4輪だと2代目ワゴンR(MH21S/22系)でのエンスト症状が有名です。

2輪だと初代と2代目GSX-1300R隼でISCV起因のエラーが多く、隼オーナーの間ではもっぱら持病だと言われているくらいです。GSX-R1000RでもISCV関係でトラブル起きてるので、技術が弱いのかはたまたコストダウンの対象にされたか。

なお、2輪のISCVの清掃は個人ではできません。ISCVの開度調整やリセットに業務用のSDSⅡが必要なんでね。お店に頼みましょう。

ホントならECUの方に清掃用のコマンドを設定しておいてほしいものですが。

昨今のストッロルボディには専用のクリーナーが必要

とりあえず色々外してスロットルボディの状態を見てみました。少し黒くなっていたのでとりあえず洗浄します。スロットル周辺が汚れているとISCVの方にも影響が出るでしょうから。

ISCVが汚れているからって直接クリーナー吹き込んじゃだめですからね?
スズキの場合ISCVにつながる配線が溶剤で溶けてショート・ECU巻き込んで故障するパターンがあるんです。GSX-R125はこれに当てはまってます。

また最近のバイクはスロットルバルブにモリブデンコートがされていますので、昔のキャブクリーナーはNGです。ケミカルメーカーそれぞれコートバルブ専用クリーナーを発売してます。(ヤマルーブですらキャブ専用とコートバルブ専用を併売している。)

自分はヤマルーブのものを持っています。左がコートバルブ対応の「スーパーインジェクション&キャブクリーナー」右がキャブ専用の「スーパーキャブレタークリーナ」です。キャブ専用は確かに汚れが強力に落ちるのですが、アンモニア系の匂いがキツイ上に手につくと皮膚が溶けている感じがします。石鹸で洗っても手荒れがひどい。

コートバルブ用はキャブ用に比べて汚れ落ちは悪い。ただこっちは手についても石鹸で洗えばそこまでひどい手荒れにはならないので用途にあったものを使いましょう。

で、どうやってスロットルバルブを洗浄するのかというと、綿棒にクリーナーつけてチマチマ拭いていく。面倒だけどそれがメーカー標準作業。

ちなみに両側やると清掃だけで30分くらいかかりました。タンクとかカウル外さないとアクセスできないのでまた時間がかかります。

あークソ面倒だった。カウル脱着込で1万くらいならお店に作業してもらいたほうがいいと思うレベル。

清掃したからなにか変化したかと言われると…何も…

余談:一時的なFIエラーならチェックランプは消える

サービスマニュアルにはエンジン警告灯が点灯以降、3回異常を検出せずにエンジンが始動・停止するとエンジン警告灯とFI表示は消えるとの記載があります。また40回ウォームアップサイクル(冷却水温度が始動時より22℃以上上昇する、かつ71℃以上となるサイクル)を行うとエラーコード自体をECUから消去する仕様とのこと。